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京の昔ばなし
2009 / 10 / 08 ( Thu )
京の昔ばなし
うかれねこの恩がえし


本堂 松

むかし、むかし、おまはんらのおじいさんのおじいさんの、そのまたおじいさんのころ
京は浄福寺の寺之内へんに称念寺ちゅうお寺はんがあったんやて。
その寺いうたら、ごっつ貧乏寺でな、土塀もこわれほうだい、本堂の屋根にはぺんぺん
草がぼうぼうにはえとるちゅうあれ方やったんやて。
そのお寺に、おしょうはんと、小さな子ねこが一ぴきすんではったということや。
ある日の昼下がりのこった。なにもすることないおしょうはん、破れ本堂の前の松の
木の根っこにこしおろして、ひざの上にこそっと乗っている子ねこに、ぼそりぼそり
と、どうにもなりそうもないことを話かけていたんやて。
「ああ、あ。なあ、おまはん、のど鳴らすばっかりが能やおへんで。このままやと、
この寺も、おまはんも、わしも、どないなるんやろなあ。わしの食うもんも、おまはん
の食うもんものうなったし、どないしたらええのやろ・・・・・」

そんなことばっかり言うとってもしやないで、おしょうはん、とうとう托鉢にでることに心を決めはったんやて。ま、おしょうはん、一日町じゅうを歩き回るうちに、
一日の食い物くらいは、なんとかできるようになったちゅうこった。おしょうはんは、
食い物が手にはいると、いっつも、自分より先に子ねこに、ええもん食わせてはった
そうな。そのうち9月。十五夜のお月見の日がやってきたんや
おしょうはん、子ねこにもお月見のごちそうらしいものを食わしたい思うて、朝はよう
から寺をでかけたんや。一日じゅう、京の町をあちこち托鉢に歩き回らはった。日は
とっぷりくれてしもうても、米も野菜もあつまらん。おしょうはんは重い足をひきずっ
て寺に帰りついた時は、中秋のまんまるいお月さんが、東の空にぽっかりうかん
どったちゅうこった。
ところでなんとも不思議なこと、本堂のしょうじの破れめからさしこむ月
の光の中でな、あの子ねこが、ぼろ手拭いのはしきれでほおあぶりまでしてな、
ひょこたんひょこたん、うかれうかれて、何やらおかしなおどりをおどっとた
いうやないか
。それを見つけたおしょうはん、虫のいどころがわるかったんか、
かんかんになっておこらはった
というこっちゃ。
おおけな声だして子ねこをけとばさはったんやて。子ねこは本堂の松をとおりこして、
とおくまでとんでいって見えんようになってしもたちゅうことや。 
 お月見のばんやいうのにな。
それからたったひとりぼっちのおしょうはん「なんぼなんでもかわいそうなことしてしもうた。あんなにまでするんやなかった。今頃どうしているやろ。かんにん
してくれや。かんにんやで・・・・・」

とわびつつ昼間のつかれもあってねてしまわはったんやて。
どれくらいしたやろかあの子ねこが「わてのことは心配いりまへん。
これまであれほど可愛がってもろてきましたさかい。ただ、あすの明け方、ええ身なり
をしはったおさむらいはんが、このお寺をたずねてきはります。おしょうはんに、
そのお方をていねいにもてなしてほしおすね
」おしょうはんははっと
めをあけてへんな夢をみたとおもうとるうちに夜が明け、門をあけにいかはったら、
なんと、武士がふたりあみ傘をとって「せっしゃ伏見城松平家の使いの者だが
きゅうにお願いしたいことがあってやってきた。じつはゆうべおそう、うちの姫さまが
のうなられた。そのお姫さまの遺言によって、おそう式のことを、みな、おしょうさん
におたのみしたい」おしょうはんとてなんの異議もあらへんわな。さっそくみなりを
整えて、ふたりの武士といっしょにおやしきにいかはったというこっちゃ。
松平家で無事に姫の葬儀をつとめはったおしょうはん、どうも、あの子ねこのこと
が気になってしょうがあらへん。けんど、どこ探しても見つからん。あちこち探して
まわるうちに、昔松平家の墓所にやってきなはった。そこの墓石のそばに、なんと
まあ、丸くなったあの子ねこの死がいがおましたそうな。
悲しい思いのおしょうはん、小さな塚をたて、ねんごろに子ねこをとむらわはった
いうこっちゃ。
こんなことがあってからいうもん。お寺も日に日にりっぱになりぎょうさんのねこに
かこまれて、おしょうはん、たのしゅう、ゆったりとくらさはったそうや。

その称念寺は現在も通称「猫寺」として浄福寺、寺の内の近くにあって地元に
親しまれています。山号を「本空山」浄土宗の知恩院派に所属するお寺で
ご本尊の来迎阿弥陀像は平安中期の高僧恵心作といわれております。
本堂前の雄流の松は樹齢300年といわれ愛猫を偲び伏した猫の姿になぞらえて
植えられたものであると伝えられております。
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